Hikifune House

Hikifune House

practice

Hikifune House

商店街通りから無数の路地が入り組み、歩を進めるうちに誰かの玄関へと自然につながっていく。公と私が緩やかに重なり合うこの町には、人を迎え入れながらも無理のない距離感を保つ、独特の風通しの良さがある。本プロジェクトは、こうした曳舟の持つ空気感を、一つの住宅の中で立体的に再構築することから始まった。

クライアントは、住まいを単なる私的空間として閉じるのではなく、人が集い、対話や活動が生まれる場としても捉えていた。下町に多く見られる、1階で商いを営み、2階に住まい、3階に屋外の居場所を持つ空間構成を手がかりに、人を迎え入れるオープンな場と、私的に閉じられた場を一つの住宅の中で棲み分けながら共存させる方法を探った。

建築は2階建てとルーフトップバルコニーから構成される。1階には来客を迎え入れるラウンジを設え、前庭から坪庭へと視線が抜け、街との連続性を感じられる開放的な空間とした。家の中心に配置した階段を上がると、2階には家族や知人が時を共にするワンルームのLDKが広がる。屋外階段でつながるルーフトップバルコニーからは曳舟の街並みを一望でき、夏には隅田川の花火を望むこともできる。お酒を片手に夕まずめの景色を眺めながら、これからのことを語らうための居場所として、住まいを街へと静かにひらいている。